10巻小ネタなど

雑筆・片喰と黄金

4コマに圧縮した1854年をもうちょっと丁寧に描いたもの

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(ラルフ)人の上に立つ人間の在り方と言うのは様々あって。
力や富を誇示して強さで引っ張る、そういうのは向いていないしなりたいとも思わない。
良いと思うのは父のような在り方。おおらかに、謙虚に、
私自身は平凡な人間で、それでもこの立場に居られるのは、周りに人々のおかげであり、決して私自身が特別だからではない。思い上がらぬように…
1850年セントルイスホーキンス邸
イザヤ「あーっ全額返済できるほどには稼げなかったぜー!!」
ラルフ「構わん構わん無事が何よりだ」
使用人「ラルフ様嬉しそう」「イザヤ様の借金があるうちは関係が切れることはないしな」
イザヤ「ほかに土産は、あとこれ、アメリアからの手紙」
ラルフ(内容は、近況、お礼、これからのことなど基本的なことで、文章を書き慣れていないのか、間違いも誤字も沢山あるが、いきいきとした良い文だ)
それから、定期的に手紙が届き、返事をする
ラルフ「おっもしろ!!文がめきめき上達するし、何より内容、新人経営者奮闘記を読んでいる!おお、この前の問題は解決したんだな。ああっでも次の壁が!?あー経済と経営と流通の話がしたい!」
ラルフ弟「気が合いそうじゃあありませんか、結婚してしまえばよろしいかと」
ラルフ「いや彼女は子供で…」
弟「ていうか誰でもいいのでさっさと結婚してください。僕先にしてもいいですか?そうすれば僕が跡取りとして…」
使用人たち「えーアイリッシュかあ」「あの子なあ」「いい人だったけどー」
弟「子供っていくつです?」
ラルフ「19かと…」
弟「19で未婚!?子供いてもおかしくないよ」※環境の差はあれ特に女性は10代での結婚も普通でした
ラルフ「そうなんだ!このままこんなことを続けていればアメリアさんが婚期を逃してしまう!そうだもう行こう、行ってきちんとお断りしよう」
弟「自分で言ってて矛盾に気づいてないのか?」
イザヤ「つーかラルフ、見合い話とか来ねえの?」
弟「なくはないですが少ないですね、あなたのせいで。大体の女性はあなたと比較されそうってだけで嫌がりますよ」
イザヤ「美の権化でごめんな(悪いとは思っていない)」
使用人ダグ「あとはまあ、あの娘が宣言したからですね」
回想の中のアメリア「大人になったら改めて検討してもらうということで」
ダグ「そう宣言してる人がいるのにご自分がサッと結婚しちゃったら居心地が悪いから」
イザヤ「アメリアの作戦めっちゃ効いてんじゃん」
弟「策士だなあ」
ーしばらく後、カリフォルニアー
道中のラルフ一行
疲れて座り込むラルフ「休憩…」
ダグ「椅子お持ちします」
ラルフ「いや、大丈夫だ」
ダグ「結局大所帯での視察が主体になりましたねえ」
回想の中のラルフの父「ちょうどいい!西海岸への事業拡大のため色々見てきなさい。社内外のものも連れて行って、あれとこれと…」
ラルフ「でもサンフランシスコを実際に観られたのは良かった!面白くなるぞ」
ダグ「さあではとっとと寄り道(アメリアをバッサリ振ること)を済ませに行きましょう」
ラルフ「気が重い!」
ダグ「まあそう懸念されてますけどあんがいあっちから断るかもですよ。子供の頃は年上の人が過剰に素敵に見えるじゃあありませんか。会わない期間に頭の中でどんどん美化されていくでしょうし」
ダグ「実際に会ったら…」
想像上のアメリア「あれっ…思ってたのより…あの、なんかすみません、わは…」
ラルフ「おおいにありうる!いやっそれはそれで構わないが!」
(ああ…私の外見を気に入ってくれているのだものな。今の私は見なくても酷い顔と分かる…幻滅してくれたらまあ…)
回想イザヤ「つーかなんでアメリアだめなわけ?お前さんそんな好みとか強かったっけ」
回想ラルフ「いや、好みはないわけではないが、条件にはなり得ないな。単純に子供だからだ」
そう、子供だからね…
アメリア「わあーいた!」
アメリア「ラルフさん着いたのですね!皆さんも!長旅お疲れでしょう!うちすぐそこですよ!わー久しぶりですねえ!」
ラルフ(ああ)
ラルフ(言い訳が使えなくなってしまった)
アメリア「ダグ!」
ダグ「おお、覚えておいででしたか。いやーすっかり大きく…いや小さいな今も」
アメリア「ちょっとは背伸びましたよ!」
ラルフ(そう、言い訳だ)
回想イザヤ「じゃ、人間的には有りなんだ」
回想ラルフ「有り、って…。素晴らしい人だと思っているよ。あの短い期間で、お前からの話で、手紙からでも分かるくらいに。だから心から願っている。私のような平凡な人間ではなく、世界を知ったあの人がいつか、素晴らしい人に巡り合えますようにと」
ラルフ(情けない己が理由なのに、良識ある大人の看板を使う。輪をかけて情けない)
アメリア「うひっうひひーやっぱりかっこいいー疲れててもかっこいいー物憂げな感じで良いと思いません!?」
ダグ「お疲れだな、と思います」
ラルフ(私は格好いい人間ではないんだよ。臆病で余裕がなくて言い訳もするしこれといった取柄もない)
アメリア「ていうか本当に大丈夫ですか?うちからなにか飲み物など取ってきましょうか」
ラルフ「アメリアさん」
ラルフ「結婚しましょう」
この一瞬あなたが喜んでくれるなら、私のことなど些事も些事だな
ガッツポーズをするアメリア「ッシャ!!!」
ラルフ(思っていた喜び方とは違うけど)
アメリア「しまーす!撤回なし!なしですよ!」
ラルフ「もちろんだとも」
アメリア「うひょひょーー!」
ダグ「ええええラルフ様!?なぜ…」
ラルフ「はは!かわいい人だな!」
ダグ「ええーそうですかねえ!」
アメリア「うち行きましょ!コナーに会ってください、トサにも」
さあ、奮励せよ、身の程知らず

後日譚のネームを見た担当さんの感想「ラルフさん考え直した方が良いよ」でした。一応考えはしていたようです。

しょうもないことに延々悩む真面目な奴ですが、基本的に自分の中で完結するので周りにはめんどくさい奴と思われずに済んでいます。

補足ですが、前提としてラルフは元々あんまり年の差自体は気にしていません。これは時代的なものもあります。周りにも10歳差・それ以上の夫婦がごろごろしていたと思いますし、そもそもこの時代8歳差は歳の差のうちに入らないくらいなのではと思います。

ではラルフ→アメリアに恋愛感情はあるのかというところですが、なくはないけど…というくらいなのではと思います。結婚に恋愛は必須ではないと考えていて、誰と結婚することになってもうまくやれる人なので(これはアメリアも同じタイプ)。
ラルフとアメリアのリーダー論が似ていますので、互いに家庭という組織の共同経営者として最適と認め合っているという感じでしょうか。
とても夢の無い話をしている気がする。いや仲は良いし楽しい毎日を送っていると思う。

イザヤ「心から祝福するぜ!」
アメリア(心…?心臓…「生存本能(こころ)から」ってことですかね」
イザヤ「ラルフー俺の部屋作ってくれ」
ラルフ「いいぞ」
アメリア「ア”-ッ」

一番得する人

ダグとラルフ
ラルフ「カリフォルニアに引っ越すにあたって使用人にも何人か一緒に来てほしい。ダグ!お前が来てくれると心強い」
ダグ「!カリフォルニアって…」
ラルフ「自由州だ。だから奴隷でなく自由黒人の使用人と言うことになり、自由証明書を発行することになるな」
ダグ「マジ!?じゃああんたのことも幼馴染のラルフくんって呼んでいい!?」
ラルフ「オウッ!?いやっえっうっ」
滝汗をかき震えるダグ
ラルフ「無理をするな!」
ダグ「ちくしょーこんな体にしてくださりやがって」
ラルフ「うっおうっ…」
その後…カリフォルニアホーキンス邸の若き使用人長として働いている
ダグ「泣いて喜ぶとでも思いましたか?(振り回すなあ)って思いましたよ」
ラルフ「うっもっともだ」

27話でラルフに「太るな」って言ってた人です

コナーもアメリアと同じくらいに結婚している
ラルフ「コナーさん、もしよければお見合いを組むが…」
コナー「うんお願い。カリフォルニアでいい人に出会えれば…と思ったこともあったけど、カリフォルニア男女比えげつなくて」
※夫を亡くした女性が夫を埋葬したその日のうちに再婚が決まったというエピソードがあるレベル
コナー「こだわり?あんまり…見た目も特に…年下でも年上でも離れすぎていなければ…カリフォルニアの農場に住んでもいいよって人で、僕がアイリッシュでもいいよって人で、僕よりアメリア様のこと好きな人」
ラルフ「突然難易度が跳ね上がったぞ。妥協してもらうかもしれん」
コナー「あとは…ノラにあんまり似てない人が良いなあ」
ラルフ「頑張って探すからな」

後日譚の最後で畑をいじっていた子供はコナーの孫です。

あと結婚まわりの話ですが、結婚しないことに理由が必要な時代ですので、大体皆しています。
ハイラムも結婚しましたが先生の妹ではありません。そもそも恋人でもない。
彼はなんだかんだ年上と結婚したかも。

北野

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